『 東大合格! 』
五十にして初めて赤門をくぐった。
東大のだ。
仕事を終えてから、一日に3時間の集中したカリキュラムで、鈍く、緩くなった脳みそを刺激した。
三年越しの計画だった。
何の為に、
『政治を勉強して、県知事になる』なんて野心はない。
しかし、みんな東大がイイ、東大がイイって言うけど、東大の何がイイって建物がイイ。
キャンパス内の建築物の多くは歴史のありそうな、格式すら感じるような重厚感がある近代性用建築だ。
煉瓦ばりが多い。
彼の安田講堂も然り。
やはり存在感がある。
しかし、ヘルメットを被る者は新図書館建設に携わる工事業者さんだけだった。
石積みの塀や欄干なども豊かな曲線を描いて、充分に惹き付けるモノがある。
煉瓦の変わった組み方があった。
外柱に垂直に貼るのではなく、垂直方向に45度傾けてギザギザになっていて、角もまた巧みにはまっている。
各校舎の入口がまた、いちいち凝っていて、レリーフかと見紛うばかりだが、よく見ると中にはレストランがあったりする。
自転車でキャンパス内を見て回る中国系観光客もいた。
購買部には、東大グッヅが売られていた。
学歴詐称にも使えるかな。
いやいや、私は受験し、合格する為にここまでやってきたのだ。
東大を目指すのか、ちょっと賢そうな小学生が、おじいさん、おばあさん、おかあさんと御土産を買っていた。
『栞』って聞こえた。
最近ではあまり聞かない御土産だと思った。
少年よ、がんばれ!
実は今年、この最高学府で若人に雑ざって試験を受けてみた。
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