2012年5月15日 (火)

『 膝上丈 』

ソフトバンクのCMで白戸家のお父さん(犬のカイ君)が言う。

『母さんのスカートが短い!』

するとトリンドル(『鳥取』と書いて)嬢が
『おかしいことをおかしいと言う勇気!』
と言う。
そしてまたお父さんが言う。
『だから、お母さんのスカートが短い!』
と繰り返す。


近頃なにを勘違いしてか、年配の女性が膝上丈のスカートを履いている姿を見かける。

下を向いて歩いているからか、いやらしい男だからか、その脚からずずずいっと顔までついぞ見上げてしまって後悔する。
最近は途中でなんとなく気付くこともあるのだが、その方が年配であるとわかると
『それはないだろう。』と思ってしまう。
『思ってしまう』のだから仕方がない。


樋口可南子さんといえが、今から二十数年くらい前だろうか、モノクロのヘアヌード写真で話題を呼んだけれども、そんなこととは別にとても魅力的な女優さんだった。
上品さの中に独特な色香を感じさせた。

コピーライターの糸井重里さんと結婚されたこともショックだったくらいに好きな女優さんだった。
(糸井さんには失礼ですが、)

そんな女優さんであっても、膝上丈スカート(緑のセーラー服という風変わりな衣装とはいえ、)をはいているのを見ると、
『それはちょっとどうなの?』と疑問符をつけてしまう。
(もちろんCM的には話題性があって成功しているかもしれないが、)

てことは、そんじょそこいらの町場のおばさんが膝を出して歩いてたとしたら、それはもう御免被るのもいたしかたないと思っていただきたい。

まず、膝がぐりっと出っ張っちゃってるし、肌がまだら模様になっちゃってたりする。

暑くてそうしてしまったのなら、まだ仕方がないかもしれない。
が、ファッションでそうしている人というのが勘弁なのだ。

なぜか、大概が衣装だけが浮いてしまっていて、若い人が着る服をそのまま着ちゃっているから駄目(受け付けないということ)なんだと思う。
正直似合っていない。

ファッションは自己満足だと言われてしまえばそれまでで、
『お前のブログはなんなんだ!』
と言われてしまえば
『自己満足です。』と応えてしまうのかもしれない。

               (了)

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2012年5月 8日 (火)

『 リターンマッチ 』 ー  城ヶ島  ー

去年の夏、45歳で若葉マークを取得、半年後に車を手に入れた僕は二回目のロングドライブ(といっても高々100Kmくらいだけどね)に三浦半島は城ヶ島に出かけた。

城ヶ島自体が初めてで、運転に不安や緊張は付いてまわったが、当日は天気も良くなかなかの行楽日和だった。
三崎の大橋を渡ると、そこが城ヶ島で平日の観光なので、島自体はかなり静かな印象だった。

バスロータリーの端にある食堂でワカメラーメンを食べ、灯台を見て回るのに車をそのまま停めさせてもらった。

灯台までのちょっとの参道には二、三件の土産物屋があったりして。
そして、灯台へ行く階段の麓にその店はあった。
ハマグリやサザエ、イカにマグロだ。

ラーメンを食べた後とはいえ、飲ん兵衛の触手はひくひくと動き続けていた。
他にもいくつかの店はあった。
土産物屋で『マグロまんじゅう』を食べたり、荒井浜海岸でアイスコーヒーを飲んだりしたけど、暑くなりはじめた太陽の輝く空と青い海を前に、ビールの一杯も飲めない旅行なんて、憧れの女性を眼の前にして、本を読んでいるくらいに情けないことのように思えた。


そして今回は、京急こと京浜急行快特に乗ってのリターンマッチだ。
三浦海岸で降り、劔崎経由のバスに乗る。
時間が早いので、劔崎で降り、『かながわ景勝50選』に入っている『劔崎灯台』へ。
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キャベツ畑を横目に灯台へ。 
鋭い岩礁や青い海を眺めながら、駅前でかったビール(500ml)を2本。
小一時間もいただろうか。 
そして、三崎東岡行きに乗り、三崎大橋でバスを乗り換え、城ヶ島へ上陸。
目的地はもうすぐそこである。

と思ったら、前回には気付かなかった定食屋が、すぐ目と鼻の先にあったのである。
コチラには『しらすの釜揚げ』や『カワハギの刺身』という強敵まで現れた。
普段は優柔不断の僕ではあるが、今回は違った。

そして、去年入れなかったその店に僕は入ったのだ。
『マグロ、イカ、甘エビの刺身』『ハマグリ焼き』『サザエのつぼ焼き』『イカの一夜干し焼き』の定食。
せっかくだからと『マグロのカマ焼き』を追加で注文。
贅沢な昼飲みである。

海の近くで、磯の香りを感じながら、飲めて、食べていられるとそれだけで美味しいし、幸せを感じた。
酎ハイを3杯くらい飲んだところで気持ちが良くなって居眠りをかきそうにもなった。

やっぱり海は車で行ってはいけないということだ。

そして僕はリターンマッチを制したのである。
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               (了)


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2012年4月24日 (火)

『 ザブングル、抜歯時々激痛、のち…… 』

ザブングルカトーはゴールデンウィークを前に、重い腰を上げた。
『歯医者さん』(『歯医者さん』–歯ッ欠け–参照)へ向かったのである。

しかし、今日、院長先生はいない。


レントゲン写真を診た女医先生は言った。
『今日(親不知を)抜くと、炎症を起こしているので、麻酔は効き難いし、腫れもひかないかも…』
カトーはたじろぎ、悩んだ。
仕事は詰まっていたし、来週の休みには予定を入れていた。
カトーは意を決し、『抜いて下さい!』といった。

あの先生の娘さんなのだから、腕前も良いはずだ。
以前に院長先生に親不知を抜いてもらった時には全くと言っていいほど痛みがなく、血も出なかった。
その時に院長先生が言った『抜歯術だよ。』という言葉を、この女医先生にも当てはまることを祈った。


痛みをうかがいながら、麻酔はおそらく十数ヶ所に及んだはずだ。
時間を掛け、徐々に徐々に、大きくて無用で不要な永久歯が身を起こす。

カトーは抜歯の状況を想像しないことで、痛みから遠ざかろうとした。
が、がである。
痛みはそんなカトーをあざ笑うかのように訪れたのである。
しかも、これがまた、『激痛!』なのだ。

涙はこぼれ落ち、唇は痙攣を起こしていた。
女医先生の持つ抜歯道具が、ギシギシと唸りをあげていくうちにカトーの意識は一瞬遠のきそうになった。


休み休みでおよそ20分くらいはかかったのだろうか。
大きくて無用で不要な永久歯は、無様にも診察台の上にコロリと置かれていた。

『後は良くなる方向へ向いていますから、… 』
『でも、今夜は痛いと思いますけどね… 』
と言った女医先生は、最後に笑ったように見えた。


カトーは処方箋を握りしめ薬局へ急いだ。
が、速く歩けば歩くだけ痛みが再び顔をもたげてきたのである。

処方箋薬局にたどり着いた時には痛みは『激痛』に変化していた。
カトーは処方の言葉を遮るかのように鎮痛剤を開け出し、薬局で売っていたミネラルウォーターで飲み干した。
映画で見るような、麻薬中毒者が薬を貪るかのようにだ。
カトーは身体を震わせていた。
身体に熱を持っていたからだ。


薬を飲んで、およそ一時間はたったころである。
カトーは食事に出かけてみた。
痛みは失せていたのだ。
初めのうちは顎が上がらず、恐る恐るにスパゲッティなんかを吸っては飲み込んでいた。
それが、食事を続けているうちに顎が開きはじめ、抜歯されていない方の顎で噛むことが出来るようになっていったのだ。


カトーがおもむろに、レストルームへ行った時である。
入ってすぐ、鏡に映る自分の顔を見て思った。
僕はもはや『ザブングルカトー』ではなく、『ハラタツノリ』なのだ、と。

              (了)

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