『 大山詣り 』 ー5ー
頂上までまだ半分以上あるのか。
歩いていて、今流行りの体幹なんかが鍛えられてるなぁ、と実感していた。
股関節、腰周り、腹筋のいわゆるインナーマッスルとか。
そういえば今回、愛犬が本当に良く歩く。
以前からそうなのだが、なぜだか階段が好きなのだ。
近所の散歩こそ嫌いなくせに、ここぞとばかりぴょんぴょんぴょんぴょん跳んでいく。
こちらがヒーヒー言っているのなんて、お構いなしだ。
体重が軽いといっても、自分よりも高い石段を駆け上がるのだから、並大抵ではないはずだ。
鬱蒼とした山道が明るくなってきた。
開けたんだ、頂上だと思ってしまった。
するとそこは久しぶりに南側が望める『二十二丁目』の『富士見台』。
雲がかった富士山もそこそこに足を止めずに上へ。
次第に自分の身体がキツくなってきた。
一歩一歩確実に、時には膝に手をあてがって足を踏み上げる。
もともと二足歩行なんて重力に逆らった姿勢で歩いているのに、更に高みへってんだから、人間てのは物好きだ。
途中、二人の人に抜かれた。
おそらく我々は本日最終の登頂者になるのだろう。
山は早く登るもんだ。
天候の急変やカミナリとか危ないからね。
茶店のおばちゃんもまさか登るとは思っていなかったのではないか。
『二十五丁目』くらいか、一丁目毎が長く感じられてきた。
そして僕の右膝が、とうとう悲鳴を上げはじめた。
右脚で踏ん張っていたのだと思う。
『もう少しだ。』
と思いつつ、かなりキツくなっている自分を冷静に見る自分もいた。
鳥居が見えた。もう後わずかだということだろう。
また、鳥居。
その向こうに見覚えのある赤い色の建物が。
頂上にある『前社』だ。
いわゆる荘厳な下社のような朱塗りではない、後から塗ったような絵の具のような赤色の建物。
やっと辿り着いたのだ。
そして売店があって、『本社』があって、『奥の院』もあるが、皆シャッターが閉まっている。
残念。
やはりシーズンオフということだろう。
それでも小さな口から、お賽銭を投げ入れ『二礼 二拍手 一礼』。
富士山もさっきよりは見えていたが、相模湾を見下ろす眺めに終始してしまい心残り。
で、その頂上だが、とにかく寒かった。
手袋を脱いだら、あっという間に手がかじかんだ。
さらしている肌が痛かった。
冬山を少し実感できたのとダウンジャケットがやっと役に立って良かった。
売店で『ビール』、なんて思っていたが、結局残っていた菓子パン半分と水を啜り、山を下りることに。
(つづく)
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