引越騒動記 『補修(床)-2-』
僕の借りていたぼろアパートの床のフローリングの板だ。
フローリングといっても様々で、うちのは4×35〜60cmくらいの細い板が、
35×70cmくらいの嵌め木材(はめぎざい)となって、敷き詰められている。
先のヒントをもとに、僕が思いついたのは、一番小さいパーツなら作れるのではないかと言う事だ。
僕はフローリングの一番上っ面の板を剥がして、ホームセンターを持ち歩いた。
それは色の確認とバルサというカンナで削りだしたような合板、
ウエハースのような趣のそれの厚みを合わせる為だ。
色はニスを重ね塗りをし、その回数でムラ気を出そうと考えた。
知り合いのペンキ屋職人さんに聞いたら、
「塗ってから、ウエスで拭き取ってみな、薄くな」
と言われ、二度塗りまで、ヤスリをかけた後、そうしてみた。
刷毛でたっぷり塗りすぎず、失敗が少ないのだろうと思った。
(本来はステインという染料っぽい塗料を塗り込む時の手法だ)
日にちを掛け、四度五度塗り重ねた。
バルサはなかなかイイ感じに色づいてゆき、
家の経年変化の微妙な雰囲気のある板に変化(へんげ)していった。
引っ越しの前日(どうしてここまで、日が迫らないとできないのだろうか)、
中途半端に裂けた板を改めてカッターと定規を使い、
あたかもそこが板の継ぎ目であるかのように切り取り、
様々な色のバルサ板をその空いたところに合わせて、切り抜き、
嵌めるように、木工用ボンドで貼り合わせていった。
僕は張り替えたフローリングの床を何度も、踏みならした。
引っかかりはないか、確認をしてみたり。
腕を組んで、眺めてみたり。
ほくそ笑んだり。
板は隙間なく埋め尽くされ、過去のフローリングと一体化していった。
(コレは大袈裟か)
我ながら見事なできばえと自画自賛した。
過去の記憶による見よう見真似と試行錯誤。
その日、襖の張り替えも含めた素人リフォームは完了した。
発つ鳥、後を汚さず。である。
が、しかし、
引越後、しばらくして、僕の部屋の修繕費の見積もりが、大家から送られてきた。
(本来なら、不動産屋からだろうに。)
そしてそこには、見栄えの悪い壁に対しての請求は一切なく、
上手くいったと思った方の、床に対しての費用発生が記されていた。
うちのワンちゃんの仕業、ということだろう。
まったく、上手くはいかないものだ、
まぁ、これはあくまでも、見積もりの話しだけどね。
(了)


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