ロッカールーム

2009年3月 7日 (土)

『K』さんのみた夢

3つのコースには『象』『ワニ』『ヒョウ』がそれぞれ待ち構えている。

透明の四角いケースに覆われたウォータースライダーのコースのスタート地点にそれぞれが並んでいるのだ。

スタートと同時に各人(?)勢いよくすべり降り、水しぶきを上げる。
『バッシャーン!』『バシャーン!』『バシャーン!』

プールに降りてくると次は、底に沈められているガラスの板を拾っては、上へ上へと持ち上げるのを繰り返す獣達。

『おっ!象さんが早いかなぁ』
鼻を起用に使って板を持ち上げる象を眺めている『K』さん。


『見えにくいですよねぇ。水の中のガラスの板は、…』と僕。
『そう、ガラスの板を持ち上げる動作が今の、先の見えない自分の(状況)を象徴しているようで…』
と苦笑する『K』さん。

そう、三度目の登場、ロッカー(ルーム)で話す『K』さんの見た夢の一部だ。


こんなのもあった。

大きな爆発事故がおき、『K』さんの息子さんは瀕死の重傷を負う。
(ちなみに『K』さんは未婚で、お子さんを作られた経験もなく、覚えもないそうだ。)

その重体であるはずの息子さんがラグビーのヘッドギアのようなものを付けている。
そして振り向いた時に見えた後頭部は四角く切り抜かれ、鉄格子が嵌め込まれている。
すると、ガランとした頭の中から、そこに手を掛け、こちらを見つめてくる廃人の瞳が、……!!!

なんて夢まで見て、しかも覚えている。(才能かもしれない)
それを朝のロッカー(ルーム)で上手に話すもんだから、おかげで目も身体もすっかり醒めてしまう。


若い頃はフロイトの『夢判断』とか、読んだりもしたが、夢が今の自分の深層を映し出しているなんて考えると、
とても、誠実で、良識ある言葉を発する『K』さんは、多重人格か(!?)、それとも優秀なストーリーテラーかと想いおこさせる。
「夢」とはそういうものなのかなとも思うけどね。

ご本人も『そんなの(『夢判断』)読んじゃうと意識しちゃいますね。』とニッコリ笑う。
(ちなみに『K』さんは『ウォータースライダー』の競技では、なんとなく『ヒョウ』を応援していたらしい。)
(ちなみに『K』さんの容姿は確かに『ヒョウ』、しかも『黒豹』の印象がある。)


近頃、僕は夢を見ないけど、最近ので気になったのは『色々横丁』(http://iroiro.yokochou.com/
)内、『夢記帳』に、いくつか載ってます。
よろしければ、


                   (了)

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2009年2月10日 (火)

『落とす物』

会社のロッカーでの噺だ。
もちろん、相手は隣の部署の『K』さんである。


『いやぁ、この手袋、よく落とすんですよ。』
と、仕事着に着替えるのに、ベルトのバックルをチャカチャカいわせながら『K』さんが話しはじめる。

『でも、無くならない。』と『K』さん。
『ああ、そういうものってありますよね。』と僕。
僕は高校入学のお祝いで貰ったデジタルの腕時計だったなぁ、なんて思っていた。


『仕事の帰り、雪が降ってたんですけど、』
『ちょっとした用件があって、携帯でメールを打ってたんです。』

彼は独特のリズムで、タンタンタンタンと話しはじめる。

『で、(メールを)打ち終わって、手袋をしようと思ったら、…』
『ああ゛〜!無ーい!』って、ソッコウで駅まで戻って、…』

僕はニコニコとうなづいている。

『そうしたら、白く積もった雪の道に、ちょっと盛り上がっているところがありまして、…』
『近づいていったら、手袋の上に薄っすら雪が積もってて、…』
とニッコリ微笑む『K』さん。

『『ああぁ、良かった』って、その話し、ウチの(彼女)にもしたんですけど、
 今度は、初詣で…』


『その手袋、ひょっとして彼女から貰ったもの?』と僕。
『そうなんです。』と『K』さん。

『落ちてるのはなぜだか、女性物が多いですよ。しかも、こんなに洒落た男性物は落ちていないですよね。』
と僕は言った。
茶色の革手袋にはオレンジ色のステッチがあしらわれている。


『で、初詣は?』と僕が聞くと
『はい。』といって、『K』さんはまた話しはじめる。
『川崎大師へ行きまして、』

『ええ゛〜!』と僕。
関東で一、二の参拝客を集めるお寺さんだ。

『ええ、やっぱり混んでまして、』と『K』さん。

『その後、(彼女と)実家に帰る予定だったので、
『…後どれくらいで行くから…』
みたいなことを行列の中で電話をしまして…』

『ええ』
ニコニコ話している『K』さんに
やはりニコニコと相づちを打つ僕。

『切ったところで、連れが、

『また、落とさないでネッ!』

って、言うから
『ああ、大丈夫!』って携帯を持つ手を見たら、片手の手袋が、

『ああ゛っ〜!!! 無っーい!』と『K』さん。

『直ぐさま振り返って、冷や汗たらして、初詣の行列、掻き分けて、
『スイマセン、スイマセン』
って潜るように逆流して、
混んでて先に進めていなかったことが幸いしまして、
程なく戻ったところに、踏まれず落ちてたんです。』
とリズミカルに話し終えると、またまた『K』さんがニコリ。

『あー良かった。』って、『K』さんは安堵の表情でも、彼女の方はそうでもない様子だったと、

手袋が無くならないのも、彼女の『愛』か、それとも『執念』か…


                    (了)

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2009年1月15日 (木)

アンダーウェアー

会社のロッカーで隣の部署の『K』さんが言う。

彼とは、年代も価値観も近いので、ちょっとした間に話すことがある。


『こないだ、「T」百貨店だったかとおもうんですけど、・・・』

彼はロッカーで着替えるほんのひと時に、ポッと話しはじめる。

『最近、また、女性ものの褌(ふんどし)が流行っているようで、・・・』と『K』さん。


『あぁ、ネットでもそんな話題の見出しがありましたね。』と僕。

『何年か前に流行ってたと思ったんですけど、又、復活したというか、テレビでも取り上げられて、・・・』と『K』さん。

『たしか、高樹沙耶が付けてるんですよね。』と僕。
『素潜りもやってるから、『海女』さんですよね』と笑いを誘う。

僕のお祭りの会に、普通に白の『越中褌』をしているが先輩(今年で60か61歳だ)がいる。
お祭りの時、一緒に銭湯に入るといつもビックリする。
下町と言っても、褌を付けているおじさんはそうそういないからだ。

『僕、下着とかってファッションの一つで、別に衒(てら)いなく、見ることができるんですけど、』
と『K』さん。


『あぁ、僕もそうですけど、多分そういうのって『詭弁』とかって言われるんですよね。』
と僕。

『学生の頃、輸入下着メーカーの倉庫番なんかもやってたんですけど、』
と僕は続け、
『随分小さいブラジャーだなぁ、と思ったら、ガーターベルトだったり、』
『なんだこりゃ、被れそうだぞ。まるで帽子だ。なんて思えるようなブラジャーがあったりして、』
(ちなみにそれは[アンダー85のE]って奴で、その型番は二十年の月日を経ても忘れることはない。)

『そう、それで、その女性モノの褌(ふんどし)がその百貨店のメインの通路に並んでいたもんですから、・・・』
『つい、指でその生地を触ったら、連れのもの(彼女)にしこたま怒られましたよ。』と『K』さん。

彼はその後も、『女性が男物の下着を買うのと一緒じゃないんですかね』とか、弁解していたが、
結局、男のこうした好奇心なんかは、女性陣に公然と受け入れられることはないということだ。

腕押しした暖簾は、ひらひらと、褌の如く揺れていた。

                  了
Minoruougi2

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